sábado, 14 de noviembre de 2009

大西洋とインド洋とを分ける、と一般的に思われがちな喜望峰(地理的にはアフリカ大陸最南端はアガラス岬)から程近い、といっても直線距離で500kmを越えるが、インド洋沿岸の町ポート・エリザベスで日本代表は南アフリカ代表と対戦する。

大西洋とインド洋とを分ける、と一般的に思われがちな喜望峰(地理的にはアフリカ大陸最南端はアガラス岬)から程近い、といっても直線距離で500kmを越えるが、インド洋沿岸の町ポート・エリザベスで日本代表は南アフリカ代表と対戦する。

元々、強風が吹き荒れる町として知られるポート・エリザベスは、ここ数日間、穏やかな気候が続いている。日差しは強いが空気は乾燥しており、気候としての条件は良い。ただし練習場の芝が荒れ気味で、その点だけが悔やまれるが、基本的にサッカーをする環境としては問題はないと言えるだろう。

来年開催の2010FIFAワールドカップ南アフリカへの出場権を手にした日本代表は、9月に行われたオランダ遠征で現時点での課題を洗い出しており、 10月のホームでの香港戦を皮切りに行われた3連戦からチーム作りは新しい段階へと突入しているという。改めて書くが、オランダ遠征を境に現時点で日本代表がやろうとしている課題は、大別して二つある。一つは質の向上であり、もう一つが新たなプレーの創出である。

オランダ代表戦でも通用していたプレーに対する質の向上という面については、一つには攻守の切り替えが上げられるだろう。
特にボールを失った局面からの守備については、オランダ戦でも運動量をベースにした厳しいプレスが実現できており、その質のさらなる向上が求められている。具体的には、プレスに行く状況判断や1対1での競り合いの強さという事になるだろう。
また、ボールを奪ってからの崩しに関しても、「ビルドアップまでは攻撃に関しては十分、数的優位を作る事でやっていける」(岡田武史監督・トーゴ戦の前日会見)との手ごたえをオランダ遠征で得ており、また客観的に見ても高い技術と連動性をベースにした攻撃が実現できている。
つまり、現状の日本のサッカーに対する評価としては、シュートに入る直前までのサッカーに関しては世界でも通用する戦いができていたととらえて間違いはないだろう。

これから本大会までの間に行われる試合の中で、サポーターのみなさんは、その点についてある程度「できるんだ」という認識で試合を見てほしいと思う。
その一方で、オランダ戦で出た課題の最大のものが、フィニッシュとそこに至る最後の数本のパスによる仕上げの局面をどう作り出していくのかという点であろう。

本来フィニッシュは選手個々のアイディアによって紡がれて行くものではあるのだが、空っぽのジュース缶からジュースがこぼれ出ないのと同様に、基本形のバリエーションが少なければ、それに付随する応用形もそう多くは作り出せない。
だからこそ、早いタイミングや、パススピードの速さを意識したクロスの練習を取り入れることになるのである。そしてこれらの練習によって基本形が体に刷り込まれ、それにより試合の中での攻撃パターンを、この日本代表というパッケージの中で表現したいのである。そうする事で、岡田監督がいうところの「ゴール前で点を取る迫力を日本が出していく」事が可能となる。
もちろん、ただクロスを上げるだけでは仕方がない。ペナルティエリア内に複数の選手が走り込む事によりスタジアムがどよめくような攻撃が完成する事となる。

つまりクロスが入る局面でそのクロスの精度はもちろん、ペナルティエリア内に走り込む選手の数にも注目してみていてほしいと思う。日本代表の攻撃のキーワードである「迫力のある攻撃」がどれだけ見られるのか、この南ア戦では注目したいと思う。

そうした課題を持って臨む今回の試合だが、選手選考のベースに大きな変化はないものと思われる。もちろんケガで今回の遠征を辞退した中村憲剛(川崎F)や長友佑都(F東京)の不在、試合前日の合流となった中村俊輔(RCDエスパニョール/スペイン)の動向は気になるが、彼らが居なければ居ないなりに、今居る選手でのシミュレーションができる事となる。
試合を組み立てるポジションの選手。クロスに関わるポジションの選手が入れ替わる中、どれだけのクオリティを日本代表が発揮できるのか、注目したいと思う。

ちなみに岡田監督は、試合2日前の記者団との話の中で積極的に選手を入れ替えたいとの言葉を残しており、6人が予想される選手交代枠をフルに使っての交代采配が予想されている。
また2日前の攻撃陣のための攻撃練習時には、守備側の選手として2枚だけ入れたセンターバックのセットが、通常の中澤佑二(横浜FM)+田中マルクス闘莉王(浦和)のセットではなく、中澤+岩政大樹(鹿島)と、闘莉王+今野泰幸(F東京)というセットだったことも気になるところである。
いずれにしても誰を先発で起用するのかという点に加え、交代枠をどの状況でどう使うのか。つまり、試合展開を変換させるための交代なのか。それとも純粋にテストのためのものなのか、という事を含め、交代采配にも注目したいところである。

対する南アフリカ代表は、仙台を率いていた事もあるジョエル・サンタナ監督の解任とそれに伴ってカルロス・アルベルト・パレイラ監督が新監督に就任して、すぐのタイミングでの試合となっている。
ご存知の通りパレイラ監督は1994年のアメリカワールドカップでブラジル代表を率いて優勝しており、その実績は十分。闘莉王は対戦が楽しみであると述べた上で「守備のところを進歩させられる監督ですし、そこをどう崩すのかがポイントになる。また、カウンターをどう止めるのかもそうですね」と着目すべき点を指摘していた。また監督交代直後という事を踏まえ「みんなワールドカップに出たい」状況であり、だからこそ「モチベーションが高いみたいですね」と警戒心を見せていた。
南アにとってホームであるという状況はもちろん、それ以上に自国で開催されるワールドカップ本大会でのメンバー入りに向け、高い意識を持って試合に臨む事は確実な状況である。そうした相手との対戦でどこまで力を見せられるのか。期待したいところだ。

ちなみに闘莉王は来年の本大会を強く意識したコメントを残しており、その中でも「こういう相手でも勝てるようにしたい」という言葉が印象に残った。
南アフリカは世界的に見れば世界の強豪国という相手ではない。ただしホストカントリーとしての強みを生かしてくるのは確実であろう。そうした中、もし仮に同じグループリーグに組み分けされた場合「勝たないとダメ」な相手であるとの認識を闘莉王は示している。強豪国とは必ずしも言えないホストカントリーとの対戦で勝てればグループリーグ突破に向けて大きなアドバンテージを手にする事となる。そういう意味で、アウェイの雰囲気の中で戦ういいシミュレーションとして活用したい相手であると言えるだろう。

ちなみに闘莉王の言葉でもう一つ興味深かったのが、敗戦を前提とした発言である。

「負けたときにどうするのかも含めてやりたいですね」という言葉がそれになるが、これはつまり本大会のグループリーグでの対戦を強く意識した言葉であろう。勝たねばならないと考えて臨んだ試合を結果的に落とした時に、それをどうチーム内で消化し、次の試合へとつなげるのか。そうした状況設定まで考えているのだとすれば、闘莉王の考えの深さには驚かされる。
いずれにしても、チーム内の熟成はもちろん、来年のワールドカップ本大会に向けたさまざまなシミュレーションを含有した試合であるという事が言えるだろう。

監督交代直後の南アフリカがどのような選手起用をするのかはわからないが、パレイラ監督としては本大会までに時間がない事もあり、手っ取り早く力のある選手を軸にチーム作りを進めるというやりかたがセオリーであろう。
そういう意味では実績としては申し分のないベネディクト・マッカーシーというストライカーの復権もあるのかもしれない。いずれにしても、闘莉王がいうところの堅い守備をどのように崩し、どうカウンターに対処するのかに注目したところである。

南アフリカサッカー協会のオフィシャルホームページには世界最速で2010FIFAワールドカップ南アフリカへの出場権を手にした日本代表への祝意を示す記事が掲載されている。国内では世界最速のワールドカップ出場権獲得という実績は全く無視されているが、現実的な話としてそれが今回のマッチメイクに生かされている可能性は高い。そういう点で、本大会まで約7ヶ月というタイミングでのホストカントリーとの対戦という機会に恵まれた事を感謝しつつ、実りのある試合としてほしいと思う。

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